芋煮会の秋

こんにちは,後藤です.今回は先日行われた芋煮会について書きます.初めに書いておきますが長くなります.

この記事をご覧になっている方に,今更芋煮会とは何ぞや?というのを説明する必要はないと思いますが,念のために説明させていただきますと東北地方に点在する「芋煮」という郷土料理を河原などで作り,みんなで鍋を囲む会のことです.

東北地方は多くの山で分断されているため,同じ地方内,県内ひいては市町村内でも異なった文化があることがままあります.こういった分断による文化の醸成については方言の多種多様性などが挙げられますが,芋煮も例に漏れず様々な様式で親しまれています.違いの一番わかりやすい例としては「山形風」と呼ばれる醤油・牛肉が入っているものと「宮城風」と呼ばれる味噌・豚肉が入っているものです.また,山形風・宮城風の中でも入れる具材の違いなどで地域性が見られ.茸・山菜・人参・ゴボウ・こんにゃく…など多くの組み合わせがあります.秋田では芋の子・芋の子汁といった名称で同様の料理があるそうで,またこういった汁物やきりたんぽ鍋を野外で食す行事もあるそうです.

こういった行事が行われるようになった起源については,世界各地で見られる収穫祭のようなものではないか,など諸説あるようですが,山形県内陸部に伝わる一説では,最上川で交易をしていた人々が川沿いで汁物を煮て食したのが始まり,というものがあります.その歴史はなんと江戸時代までさかのぼるそうです.また,芋煮の文化的な定着の一因として,東北地方の寒さがあると思われます.東北地方のものは脂っこくて塩辛いものが多い,とよく言われますが,塩分は寒い中での体温維持に必要,かつ冬を超えるための保存食としての塩漬けが重宝されます.また,同様に寒冷地域の民族であるエスキモーなどの食文化を見ればわかるように,脂はカロリーを摂取するための大事な手段です.こういった背景から,
・塩辛い
・脂が摂れる
・体が温まる
という三拍子が揃った芋煮は現代まで続く行事として残っているのだと考えられます.まさに歴史,生活に根ざした食文化であるといえるでしょう.

さて,散々芋煮について語ったところで,研究室での芋煮会の話をしようと思います.
参加人数が多かった年には鍋を2つ使って山形風・宮城風をどちらも作っていたのですが,今年は人数が多くなかったため山形風のみを作りました.



〆はカレーうどん.山形風の芋煮はここ仙台でもポピュラーなものですが,この食べ方はあまり知られていないようでしたので,機会があればぜひ試してみてください.

B4が主導で開催するイベントというのはこれが初めてに近かったため,うまくいくか少し不安でしたが,無事完成した芋煮は概ね好評で安心しました.山形県民であるぼくとしては,これを使ってこそ本物の芋煮である,と思っている醤油「味マルジュウ」を布教できたのが大きかったです.

もしこれを使っていない山形風を食べて「宮城風のほうがおいしい」とのたまっている方がいらっしゃいましたら,ぜひ使ってみる,もしくは山形で毎年開催されている「日本一の芋煮会」までいらっしゃってください.購入はamaz〇nでも可能ですよ.

以上,後藤でした.

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする